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人が亡くなったときに行う届け出と手続きー3 [年金の手続き]

身近な人が亡くなったときに、年金の手続きー[最新版]

3部構成になっており、今回は下記の第2部です。

第一部では、今回のブログでは「身近な人が亡くなったときに、すぐに行う届け出と手続き」として、「すぐ〜14日以内」に行う手続きについて説明します。

第二部は、それに続く「落ち着いたら行う届け出と手続き」についてです。
気持ちも落ち着いて、新しい生活の立ち上げに向けて、一歩踏み出すための「届け出と手続き」になります。

第三部は、このシリーズの最大の難所、「年金などの手続き」を説明します。
ここは正直ムツカシイので、多少ハショリつつ全体のイメージをつかんでいただければよいかな、とも思っています。

もくじ

1. そもそも、公的年金のしくみの話

国民年金と厚生(共済)年金
〜自営業者等と会社員等〜

まず、基本的な言葉を説明しますね。

ここを、しっかり頭に入れていないと、その後の話がチンプンカンプンになります!

日本の年金制度は、大きく二つの仕組みで成り立っています。

一つは、すべての国民が加入する「国民年金」です。
二つ目は、会社員や公務員が「国民年金」に加えて加入する「厚生(共済)年金」です。

そのため、会社員や公務員の年金は、「2階建て年金」とも呼ばれているんですね。

もうひとつ、つらいところを言うと、将来、年金が給付される「被保険者」は3種類に分けられます。

第1号被保険者は、自営業者などです。
第2号被保険者は、会社員などです。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される配偶者のことをいいます。

以下の表をじーっと見てみてください。

日本の年金制度

【自営業等】 [会社員等]
2階部分
厚生(共済)年金
国民年金
1階部分
国民年金

被保険者の種類

被保険者の種類 被保険者 年金の種類
1号被保険者
自営業等
国民年金
2号被保険者
会社員等
国民年金 + 厚生(共済)年金

給付の種類は3種類
〜老齢年金、障害年金、遺族年金〜

年金の給付の種類は、なんと3種類あります!

加入者の「老齢、障害、死亡」という原因に対して、それぞれ「老齢年金、障害年金、遺族年金」が給付されるんですね。

年金というと、一般的な感覚では、「お年寄りになるともらえるお金」といったイメージですよね。

ところが、「老齢年金」というのは、年金がもらえる三つのパターンの一つにすぎなかったんです・・・

大切な方が亡くなったときの「年金の手続」は、給付されていた老齢年金、障害年金を停止して、その未支給分と遺族年金の請求をすることになります・・・

分からなかったら、ここは飛ばしてOKです。
全体をながめてから、もう一度、ここにもどって読み返してみてくださいね!

給付される年金の種類

[原因] [会社員等]
老齢
老齢基礎年金・老齢厚生年金
障害
障害基礎年金・障害厚生年金
死亡
遺族基礎年金・遺族厚生年金

老後の年金がもらえる人
〜受給資格期間を満たした、原則65歳から〜

まず、老後の年金(老齢年金)が受け取れるのは、原則65歳からなんです。


つぎに、「受給資格期間」がその条件となります。

それって何?って突っ込みたくなりますよね。

保険料を納めた期間と免除を受けた期間のことを、「受給資格期間」といいます。
その期間が、合わせて原則10年以上あることが必要なんですね。

原則といったのは、受給資格期間には、経過措置や特例措置があるからなんです・・・

期間が足りない、と思われる場合は、最寄りの年金事務所やねんきんダイヤルに確認しましょう。

2. ざっくり理解! 年金などの手続き、あれこれ

年金の手続は大きく2つ
〜年金受給の停止、遺族年金の請求〜

亡くなった方の年金の手続きは、大きく2つあります。

一つは、年金の「受給を停止」する手続きです。
もう一つは、「遺族年金を請求」する手続きです。

年金を停止する手続が遅れると、追加で支給された年金を「返還」しなければなりません。
さらに手続きが増えてしまうため、注意してくださいね。

また、未支給の年金と遺族年金が受け取れるのは、亡くなった方と「生計を同一」にしていた遺族のみです。

「生計を同一」というのも分かりにくいですが、生活費を同じ財布でやりくりしていたイメージです。

なお、亡くなった方が加入・受給していた年金の種類や納付期間により、遺族の受給金額が変わりますよ。

手続 期限 ポイント
故人の年金停止
すみやかに
故人の年金受給を停止する手続と、未支給の年金を受給する手続あり
遺族年金の請求
一時金の時効 2年 年金の時効 5年
請求期間を過ぎると受け取れなくなるため、要件を確認して、早めに手続を行う

亡くなった方の分類による、5つの遺族年金パターン
〜加入中か受給中か、国民年金のみか、年金加入者か扶養家族か〜

亡くなった方が加入していた年金の種類などにより、「生計を同一」にしていた遺族が受給できる年金・一時金は、以下の表のように、5つの場合に分けて考えましょう。

まず、年金の加入中か、受給が開始した(あるいは受給資格を満たした)か、という時期によります(下表の1、2 対 3、4)。

つぎに、国民年金のみに加入していたか、厚生年金(共済)にも加入していたか、という年金の種類によります(1、3対2、4)。

最後に、亡くなった方が年金の加入者であったか、扶養家族であったか、で遺族年金が決まります(1〜4対5)。

あなたは、どの場合にあてはまりますか?

亡くなった方の分類 遺族への年金・一時金
1. 国民年金のみに加入中の方
・遺族基礎年金
・(該当すれば)寡婦年金、または死亡一時金
2. 厚生年金(共済)に加入中の方
・遺族基礎年金 + 遺族厚生年金
・(該当すれば)中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算
3. 老齢基礎年金のみを受給しているか、 受給資格を満たしている方
・遺族基礎年金
4. 老齢厚生年金(共済)を受給しているか、 受給資格を満たしている方
・遺族基礎年金 + 遺族厚生年金
・(該当すれば)中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算
5. 会社員の配偶者等
・なし

年金事務所や年金ダイヤルで相談する
〜自分で最後まで調べようとしないのが現実的〜

遺族年金などの仕組みには、細かい条件が設定されています。

そのため、最終的には、年金事務所や年金ダイヤルで相談するのがオススメです。

もちろん、(このサイトのような)インターネットや書籍などで、「年金制度の概要」を大まかにでも理解してから相談すれば、スムーズに話は進みますよ!

・日本年金機構: 全国の相談・手続き窓口(年金事務所)
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/

・年金ダイヤル
0570-05-1165(ナビダイヤル)
03-6700-1165(一般電話、050の電話からかける場合

3. 年金の受給停止と、未支給年金の請求の手続き

年金受給者が亡くなったときは、受給停止を手続
〜手続きが遅れると、返還が必要〜

年金受給者が亡くなったときは、年金受給を停止する手続をしましょう。

手続きが遅れて年金が支払われると、返還することになるんです。

年金は年6回、偶数月の15日に、前2か月分が支払われます。

また、死亡した月の分まで受け取れます。

これらのスケジュールを頭に入れて、手続きを進めてくださいね。

項目 ポイント
提出先
・最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センター
提出者
・遺族など
提出方法
・持参
提出書類
・年金受給権者死亡届(報告書)
(年金事務所の窓口または日本年金機構のウェブサイトで入手)
必要なもの
・故人の年金証書(添えられないときは理由を年金受給権者死亡届に記入)
・死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍謄抄本、死亡診断書(コピー可)など)
提出期限
・すみやかに

未支給年金を請求できる遺族
〜故人と生計を同じくしていた人で、請求権に順番あり〜

まだ支払われていない未支給年金は、請求することで、「受給資格」のある遺族に支払われます。

「受給資格」のところがややこしいのですが、以下の順番で請求できるんです。

・故人と生計を同じくしていたこと。
・①配偶者→②子→③父母→④孫→⑤祖父母→⑥兄弟姉妹→それ以外の3親等。

自分より先の順位の方がいる場合は請求できないので、気をつけましょう。

なお、つぎの条件にあてはまるときも、未支給年金は支払われますので、注意してくださいね。

・故人が年金の受給資格期間を満たしていた。
・年金をもらっていなかったとき。

未支給年金の請求方法
〜故人と請求者の関係を証明する〜

未支給年金の請求は、いろいろな書類を集めるところがやっかいです・・・

大きく二つのポイントがあります。

・亡くなった方の年金を特定すること。

・亡くなった方と請求者の関係を書類で証明すること。

まず、年金を特定するには、年金コードを見つける必要があります。

亡くなった方が複数の年金を受けていた場合は、未支給【年金・保険給付】請求書に、すべての年金コードを記入しましょう。

次に、故人と請求者の関係を証明するには、以下のような書類を添付してくださいね。

・故人と請求者の「身分関係」が確認できる書類(戸籍謄本等)。

・故人と請求者が「生計を同じくしていた」ことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票など)など。

「身分関係」とか急に言われても・・・というところですが、最寄りの年金事務所や年金相談センターの力を借りて、少しずつ進めましょう。

項目 ポイント
提出先
・最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センター
提出者
・未支給年金の受給資格のある遺族
提出方法
・持参
提出書類
・未支給【年金・保険給付】請求書 (年金事務所の窓口または日本年金機構のウェブサイトで入手)
必要なもの
・故人の年金証書(添えられないときは理由を年金受給権者死亡届に記入)
・死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍謄抄本、死亡診断書(コピー可)など)
・故人と請求者の身分関係が確認できる書類(戸籍謄本等)
・故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類 (死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票など)
・受け取りを希望する金融機関の通帳(コピー可)
・故人と請求者が別世帯の場合は「生計同一についての別紙の様式」 など
提出期限
・すみやかに
留意点
・年金受給権者死亡届(報告書)と合わせて提出

4. 遺族年金を請求する

遺族年金は残された家族のための年金制度
〜生計を維持されていたことが前提要件〜

「遺族年金」。
またまた、難しい言葉が出てきました・・・

「遺族」というのは、残された家族のことで、「年金」は定期的にお金が支給されることなので・・・
つまり、遺族年金は、家族の大黒柱が亡くなったときの、残された家族のための年金制度、ということになります。

そのため、遺族が亡くなった方に「生計を維持されていたこと」が、受給の前提になるんです。

また登場です。
「生計を維持」、どうしてこう分かりにくいんでしょう?

「生計を維持されていた」とは、死亡当時に、亡くなった方と生計が同一、同じ財布で暮らしていたことです。
さらに、将来にわたって年収850万円を得られない方という条件もつくんです。

ややこしいですね・・・

なお、亡くなったときには年収850万円を超えていても、おおむね5年以内に850万円を下回ると認められる場合は、遺族年金の対象となります\(^_^)/

遺族基礎年金、または遺族厚生年金の受給可否
〜故人の要件と受け取れる遺族の範囲で決まる〜

遺族基礎年金は、つぎの三つの条件に当てはまると受け取れるんです。

・国民年金の加入者が亡くなったとき。

・亡くなった方に生計を維持されていたとき。

・子のいる妻や夫、または子。

一方、遺族厚生年金は、つぎの二つの条件に当てはまると、遺族基礎年金とあわせて受け取れます。

・厚生年金の加入者が亡くなったとき。

・支給要件に該当する方が対象。

「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の関係が、何だかこんがらがってきた、あなた!

そんなときは、はじめの「1. そもそも、公的年金のしくみの話」に戻って、読み直してくださいね。

遺族基礎年金の支給要件

項目 ポイント
故人の要件
・国民年金の被保険者
・国民年金の被保険者であった人で、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満である人
・老齢基礎年金の受給権者
・老齢基礎年金の資格期間を満たした人
・上記に加えて、故人が保険料納付等の資格期間を満たしていること
遺族の範囲
・子のある妻
・子のある夫
・子

遺族厚生年金の支給要件

項目 ポイント
故人の要件
・被保険者が死亡したとき、 または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる人
遺族の範囲
・① 妻、子(18歳未満など要件あり)、55歳以上の夫(実際の支給は60歳から)
・② 55歳以上の父母(実際の支給は60歳から)
・③ 孫
・④ 55歳以上の祖父母(実際の支給は60歳から)
・受給順位は、上記の①→②→③→④

遺族基礎年金、遺族厚生年金の支給金額
〜遺族基礎年金は定額、遺族厚生年金は年金額に比例〜

正直、このあたりからは、言葉はややこしいし、数字は出てくるしですが、頑張って分かりやすく説明しますね。

まず、「遺族基礎年金」の年間支給金額は、つぎの計算方法にもとづく定額となります。

・子のある配偶者が受け取るとき: 「779,300円 + 子の加算額」
・子が受け取るとき: 「779,300円 + 2人目以降の子の加算額」

「子の加算額」の詳細などは、年金事務所や年金ダイヤルに確認くださいね。
ごっちゃになるので省略しました!

つぎに、「遺族厚生年金」の年間支給金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の「報酬比例部分」の年金額の3/4になります。

「報酬比例部分」
この説明も、年金事務所や年金ダイヤルに確認ください。

注意したいのは、遺族基礎年金、遺族厚生年金の請求方法は、遺族年金の種類により、請求先が異なることです。
なお、提出書類や必要なものなどは同じですよ

項目 ポイント
提出先
・遺族基礎年金のみの場合: 請求者の住所地の市区町村役場
・それ以外の場合: 最寄りの年金事務所
請求者
・給付対象の遺族
提出方法
・持参
提出書類
・年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付付)
必要なもの
・年金手帳(提出できないときは、その理由書が必要)
・年金証書/恩給証書(他の公的年金から年金を受けているとき)
・戸籍謄本(全部事項証明書)(死亡された日以降のもの)
・世帯全員の住民票の写し(死亡者との生計維持関係確認のため)※
・死亡者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)※
・請求者の収入が確認できる書類 (生計維持認定のため、所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)※
・子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、在学証明書または学生証など)※
・死亡診断書のコピー
・受取先金融機関の通帳等(請求者の本人名義)
・印鑑 など
留意点
・(※)マイナンバーを記入することで、添付を省略できる書類

5. 遺族基礎年金がもらえないとき?

寡婦年金・死亡一時金の受給要件
〜どちらかを選択して受け取れる場合あり〜

まず、「寡婦年金」「死亡一時金」という言葉を覚えましょう!

いくつかの条件にあてはまると、もらえることがあるからです。

寡婦年金と死亡一時金は、遺族基礎年金の要件にあてはまらないときでも、納付した保険料が掛け捨てにならないように支給されるんです。

以下の二つの表にある「寡婦年金」と「死亡一時金」の受給要件を両方満たすときは、選択して一方のみを受給できます。
なかなか読みにくい説明ですが、つらいときは、年金事務所や年金相談センターです!

なお、「寡婦年金」と「死亡一時金」の両方はもらえないので、注意しましょう。

寡婦年金の受給要件

項目 ポイント
亡くなった夫
・①国民年金の第1号被保険者として、保険料を納めた期間が10年以上ある (免除期間を含む)
・②老齢基礎年金を受けたことがない
・③障害基礎年金の受給権者であったことがない
・①10年以上継続して婚姻関係にある
・②65歳未満
受給対象者・期間
・60〜64歳の妻
時効
・死亡日の翌日から5年
制限事項
以下にあてはまる場合は請求できません
・夫が障害基礎年金をもらったことがある、あるいは年金受給権者であった
・妻が繰り上げ老齢基礎年金をもらっている

死亡一時金の受給要件

項目 ポイント
亡くなった方
・①国民年金の第1号被保険者として、保険料を納めた期間が3年以上ある
・②老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがない
受給対象者
・生計を同一にしていた方
・順番は、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹
時効
・死亡日の翌日から2年
制限事項
以下にあてはまる場合は請求できません
・故人が老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれかを受給していたとき
・遺族基礎年金を受けることができる人がいるとき

寡婦年金・死亡一時金の請求方法
〜故人の住所地の市区町村役場、年金事務所などへ請求〜

寡婦年金・死亡一時金は、故人の住所地の市区町村役場、最寄りの年金事務所などで請求しましょう。

寡婦年金と死亡一時金で、提出書類や必要なものが異なります。

以下の表にまとめていますので、ここは特に留意してくださいね!

寡婦年金の請求方法

項目 ポイント
請求先
・故人の最後の住所地の市区町村役場
・最寄りの年金事務所など
請求者
・故人の妻
提出方法
・持参
提出書類
・年金請求書(国民年金寡婦年金)
必要なもの
・年金手帳(提出できないときは、その理由書が必要)
・年金証書/恩給証書(他の公的年金から年金を受けているとき)
・戸籍謄本(全部事項証明書)(死亡された日以降のもの)
・世帯全員の住民票の写し(死亡者との生計維持関係確認のため)
・死亡者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)
・請求者の収入が確認できる書類 (生計維持認定のため、所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
・受取先金融機関の通帳等(請求者の本人名義)
・印鑑 など

死亡一時金の請求方法

項目 ポイント
請求先
・故人の最後の住所地の市区町村役場
・最寄りの年金事務所など
請求者
・配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹
提出方法
・持参
提出書類
・国民年金死亡一時金請求書
必要なもの
・年金手帳(提出できないときは、その理由書が必要)
・戸籍謄本(全部事項証明書)(死亡された日以降のもの)
・世帯全員の住民票の写し(死亡者との生計維持関係確認のため)
・死亡者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)
・受取先金融機関の通帳等(請求者の本人名義)
・印鑑 など

寡婦年金・死亡一時金の受給額
〜老齢基礎年金の3/4、12〜32万円〜

寡婦年金の年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した「老齢基礎年金額」の3/4になります。

これまでもらっていた、「老齢基礎年金額」がわかっていれば、おおまかな金額イメージがわかるかも・・・

死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円です。
納めた月数については、年金事務所や年金相談センターに確認しましょう!

なお、付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されますよ。

死亡一時金の受給額

保険料納付月 金額
36月以上、180月未満
120,000円
180月以上、240月未満
145,000円
240月以上、300月未満
170,000円
300月以上、360月未満
220,000円
360月以上、420月未満
270,000円
420月以上
320,000円

6. 遺族厚生年金に加算される給付とは?

中高齢寡婦加算を受け取れる要件
〜18歳までの子がいない妻〜

遺族年金の仕組みによって、遺族厚生年金は受給できるけれども、遺族基礎年金は受給できない場合があるんです。

その場合、亡くなった方の妻は、その空白部分を補うための「加算給付」が受け取れます。

年金の制度って、うまくできてるんですよね。
その分、分かりにくくもあるんですが・・・

加算給付の一つである「中高齢寡婦加算」を受ける要件は、18歳までの子がいない妻であることです。

以下の表と図を参照してくださいね。
特に、<中高齢寡婦加算・経時的寡婦加算のイメージ>の図は、わかりにくいところをうまく表現しているので大事です!

項目 ポイント
亡くなった夫
・① 以下の要件にあてはまること
-被保険者である
-被保険者期間中の病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡した
-1級・2級の障害厚生年金の受給権者である
・② 老齢厚生年金の受有権者または受給資格期間を満たしている場合、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある
・① 夫の死亡当時、40歳以上65歳未満であり、「子」がいない
・② 夫の死亡当時、40歳未満だったが、40歳に達した当時、「子」がいるため遺族基礎年金を受けていた
受給対象者・期間
・妻が65歳に達するまで

<中高齢寡婦加算・経時的寡婦加算のイメージ>

【子どもがいる場合】(例)

【子どもがいない場合】(例)

経時的寡婦加算を受け取れる要件
〜昭和31年以前の生まれで、65歳以上の妻〜

もう一つの加算給付である「経時的寡婦加算」を受ける要件は、二つあります。

・昭和31年4月1日以前の生まれであること。
・65歳以上の妻であること。

「経時的寡婦加算」は、老齢基礎年金が新設された昭和61年4月1日に、新制度でカバーできない人を救うための経過措置として設けられたんです。

ややこしいですが、年金の仕組みはよくできている、とお考え下さい。

項目 ポイント
亡くなった夫
・厚生年金の被保険者期間が、20年以上ある
(または40歳以降に15年以上ある)
・妻が昭和31年4月1日以前生まれ
・65歳以上
受給対象者・期間
・65歳に達した妻
(遺族厚生年金が支給されている間は支給)

遺族厚生年金に加算される額
〜年額約58万円分を補填する仕組み〜

最初に説明した「中高齢寡婦加算」がもらえる場合、定額の年585,100円が、遺族厚生年金に加算されるんです。

繰り返しになりますが、上記の<中高齢寡婦加算・経時的寡婦加算のイメージ>を見てくださいね。
意味が分かると思います!

また「経時的寡婦加算」のときは、以下の算式による金額が加算されます。

経時的寡婦加算 = 中高齢寡婦加算 - (老齢基礎年金の満額×乗率※)
(年585,100円)
※乗率は、生年月日により12/312から348/212の間で定められています。

7. 児童扶養手当が支給されるとき

児童扶養手当の対象者と所得制限
〜一人親家庭などの子のために支給〜

つぎは「児童扶養手当」です!

この手当は、配偶者が亡くなった一人親家庭などの子のために、地方自治体から支給されるんです。

受給できる人は、つぎの二つを満たす必要があります。

・日本国内に住所があること。
・18歳までの子(一定以上の障害のある場合は20歳未満)を監護している父、母など。

また児童扶養手当を受給するときには、受給者および生計を同じくする扶養義務者等に、つぎのような所得制限があります。
注意してくださいね!

児童扶養手当の請求方法
  〜市区町村に認定請求をして審査を受ける〜

児童扶養手当を請求するには、市区町村に認定請求をして、受給の「審査」を受けないといけないんです・・・

また、毎年8月に現況届を提出して、面談を受ける必要があります。

これが結構めんどう、という声もあります。
税金から支払われるので仕方がないところですが・・・

多少いろいろ聞かれても、めげずにガンバッテくださいね!

項目 ポイント
提出先
・お住まいの市区町村役場
請求者
・子の扶養義務者等
提出方法
・窓口に提出
提出書類
・児童扶養手当認定請求書(窓口で入手)
必要なもの
・請求者と対象児童の戸籍謄本
・住民票の写し(受給資格者及び対象児童の属する世帯全員)
・請求者の本人名義の通帳等と印鑑
・年金手帳
・請求者の個人番号が確認できる書類
・請求者の個人番号が確認できるもの など

児童扶養手当の支給額(月額) (2020年3月時点)
〜児童の数と所得により決まる〜

児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて毎年額が改定されます(物価スライド制)。

ちゃんと生活費の値上がりに対応する仕組みなんですね。

年6回、前月までの2か月分がまとめて支給されますよ。

児童の数 全部支給の手当の額 一部支給の手当の額
1人
月額42,910円
所得に応じて月額42,900円から10,120円の範囲で決定 
2人
児童1人の額に 月額10,140円を加算
所得に応じて月額10,130円から5,070円の範囲で決定 
3人目以降
1人増すごとに 月額6,080円を加算
所得に応じて月額6,070円から3,040円の範囲で決定 

8. 仕事中などに亡くなったとき

仕事中に亡くなったとき
〜労災保険の補償が支給される〜

「遺族補償年金」。

また新しい言葉が出てきました・・・

遺族年金の一つに、「遺族補償年金」という仕組みがあります。

仕事中に亡くなったときは、「遺族補償年金」など、労働者災害補償保険(労災保険)の補償が支給されるんです。

支給の対象者は、つぎの二つの要件を満たす必要があります。

・労働者の死亡当時に、その人の収入で生計を維持されていたこと。

・配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること。

また、妻以外には支給の要件がありますので、確認してくださいね。

遺族補償年金と遺族補償一時金の請求
〜会社が手続をするのが義務〜

ご説明したとおり、仕事中に亡くなったときは、原則として「遺族補償年金」が支給されます。

ただし、遺族補償年金の支給要件に当てはまる人がいないときに、「遺族補償一時金」が支給される場合があります。

また、労災事故が起きた場合は、会社が手続をするのが義務になっています。
なんらかの事情で、会社が手続をしてくれないときは、会社の管轄地にある労働基準監督署に相談しましょう!

失業給付などの受給中に亡くなったとき
  〜未支給分の給付が受け取れる〜

失業保険(手当)の受給中にご家族が亡くなったときは、遺族は、死亡前日までの未支給分の失業給付を受け取れます。

対象者は、つぎの要件を満たす1人だけに支給されます。

・生計を同じくしていた遺族であること。
・配偶者、子、孫、祖父母、兄弟姉妹。

あてはまるときは、亡くなった方の住所地のハローワークに確認しましょう。
なお、請求期限は、死亡日の翌日から6か月以内です。
お忘れなく!

お疲れさまでした!

最後まで読み通していただき、ありがとうございました!

いやー長かった。
特に第三部の年金は、ムズカシイです。

ずーっと、これだけを仕事にしてやっていれば、分かるかもしれませんが・・・
一生に何回か、大切な人を見送ったときにだけ、「お勉強」するには、つらすぎます。

でも、この仕組みのおかげで、安心して暮らせるのも事実なんです・・・

何度かお伝えしましたが、少しガンバッテみて、無理だったら、年金事務所や年金ダイヤルに相談しましょう!

「少しガンバッた」ことは、年金事務所や年金ダイヤルのご担当者も、よ〜く理解して、感謝してくれるはずです。

あなたの理解が少しすすんで、「身近な人が亡くなったときの届け出と手続き」のメンドウさが、ちょっぴりでも和らぐことを祈りつつ・・・

お相手は、『スマートシニア』 編集部の須磨都新屋(すまと しんや)でした。

また、お会いしましょう!