3部構成になっており、今回は下記の第2部です。
第一部では、今回のブログでは「身近な人が亡くなったときに、すぐに行う届け出と手続き」として、「すぐ〜14日以内」に行う手続きについて説明します。
第二部は、それに続く「落ち着いたら行う届け出と手続き」についてです。
気持ちも落ち着いて、新しい生活の立ち上げに向けて、一歩踏み出すための「届け出と手続き」になります。
第三部は、このシリーズの最大の難所、「年金などの手続き」を説明します。
ここは正直ムツカシイので、多少ハショリつつ全体のイメージをつかんでいただければよいかな、とも思っています。
まず、基本的な言葉を説明しますね。
ここを、しっかり頭に入れていないと、その後の話がチンプンカンプンになります!
日本の年金制度は、大きく二つの仕組みで成り立っています。
一つは、すべての国民が加入する「国民年金」です。
二つ目は、会社員や公務員が「国民年金」に加えて加入する「厚生(共済)年金」です。
そのため、会社員や公務員の年金は、「2階建て年金」とも呼ばれているんですね。
もうひとつ、つらいところを言うと、将来、年金が給付される「被保険者」は3種類に分けられます。
第1号被保険者は、自営業者などです。
第2号被保険者は、会社員などです。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養される配偶者のことをいいます。
以下の表をじーっと見てみてください。
日本の年金制度
被保険者の種類
年金の給付の種類は、なんと3種類あります!
加入者の「老齢、障害、死亡」という原因に対して、それぞれ「老齢年金、障害年金、遺族年金」が給付されるんですね。
年金というと、一般的な感覚では、「お年寄りになるともらえるお金」といったイメージですよね。
ところが、「老齢年金」というのは、年金がもらえる三つのパターンの一つにすぎなかったんです・・・
大切な方が亡くなったときの「年金の手続」は、給付されていた老齢年金、障害年金を停止して、その未支給分と遺族年金の請求をすることになります・・・
分からなかったら、ここは飛ばしてOKです。
全体をながめてから、もう一度、ここにもどって読み返してみてくださいね!
給付される年金の種類
まず、老後の年金(老齢年金)が受け取れるのは、原則65歳からなんです。
つぎに、「受給資格期間」がその条件となります。
それって何?って突っ込みたくなりますよね。
保険料を納めた期間と免除を受けた期間のことを、「受給資格期間」といいます。
その期間が、合わせて原則10年以上あることが必要なんですね。
原則といったのは、受給資格期間には、経過措置や特例措置があるからなんです・・・
期間が足りない、と思われる場合は、最寄りの年金事務所やねんきんダイヤルに確認しましょう。
亡くなった方の年金の手続きは、大きく2つあります。
一つは、年金の「受給を停止」する手続きです。
もう一つは、「遺族年金を請求」する手続きです。
年金を停止する手続が遅れると、追加で支給された年金を「返還」しなければなりません。
さらに手続きが増えてしまうため、注意してくださいね。
また、未支給の年金と遺族年金が受け取れるのは、亡くなった方と「生計を同一」にしていた遺族のみです。
「生計を同一」というのも分かりにくいですが、生活費を同じ財布でやりくりしていたイメージです。
なお、亡くなった方が加入・受給していた年金の種類や納付期間により、遺族の受給金額が変わりますよ。
亡くなった方が加入していた年金の種類などにより、「生計を同一」にしていた遺族が受給できる年金・一時金は、以下の表のように、5つの場合に分けて考えましょう。
まず、年金の加入中か、受給が開始した(あるいは受給資格を満たした)か、という時期によります(下表の1、2 対 3、4)。
つぎに、国民年金のみに加入していたか、厚生年金(共済)にも加入していたか、という年金の種類によります(1、3対2、4)。
最後に、亡くなった方が年金の加入者であったか、扶養家族であったか、で遺族年金が決まります(1〜4対5)。
あなたは、どの場合にあてはまりますか?
遺族年金などの仕組みには、細かい条件が設定されています。
そのため、最終的には、年金事務所や年金ダイヤルで相談するのがオススメです。
もちろん、(このサイトのような)インターネットや書籍などで、「年金制度の概要」を大まかにでも理解してから相談すれば、スムーズに話は進みますよ!
・日本年金機構: 全国の相談・手続き窓口(年金事務所)
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/
・年金ダイヤル
0570-05-1165(ナビダイヤル)
03-6700-1165(一般電話、050の電話からかける場合
年金受給者が亡くなったときは、年金受給を停止する手続をしましょう。
手続きが遅れて年金が支払われると、返還することになるんです。
年金は年6回、偶数月の15日に、前2か月分が支払われます。
また、死亡した月の分まで受け取れます。
これらのスケジュールを頭に入れて、手続きを進めてくださいね。
まだ支払われていない未支給年金は、請求することで、「受給資格」のある遺族に支払われます。
「受給資格」のところがややこしいのですが、以下の順番で請求できるんです。
・故人と生計を同じくしていたこと。
・①配偶者→②子→③父母→④孫→⑤祖父母→⑥兄弟姉妹→それ以外の3親等。
自分より先の順位の方がいる場合は請求できないので、気をつけましょう。
なお、つぎの条件にあてはまるときも、未支給年金は支払われますので、注意してくださいね。
・故人が年金の受給資格期間を満たしていた。
・年金をもらっていなかったとき。
未支給年金の請求は、いろいろな書類を集めるところがやっかいです・・・
大きく二つのポイントがあります。
・亡くなった方の年金を特定すること。
・亡くなった方と請求者の関係を書類で証明すること。
まず、年金を特定するには、年金コードを見つける必要があります。
亡くなった方が複数の年金を受けていた場合は、未支給【年金・保険給付】請求書に、すべての年金コードを記入しましょう。
次に、故人と請求者の関係を証明するには、以下のような書類を添付してくださいね。
・故人と請求者の「身分関係」が確認できる書類(戸籍謄本等)。
・故人と請求者が「生計を同じくしていた」ことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票など)など。
「身分関係」とか急に言われても・・・というところですが、最寄りの年金事務所や年金相談センターの力を借りて、少しずつ進めましょう。
「遺族年金」。
またまた、難しい言葉が出てきました・・・
「遺族」というのは、残された家族のことで、「年金」は定期的にお金が支給されることなので・・・
つまり、遺族年金は、家族の大黒柱が亡くなったときの、残された家族のための年金制度、ということになります。
そのため、遺族が亡くなった方に「生計を維持されていたこと」が、受給の前提になるんです。
また登場です。
「生計を維持」、どうしてこう分かりにくいんでしょう?
「生計を維持されていた」とは、死亡当時に、亡くなった方と生計が同一、同じ財布で暮らしていたことです。
さらに、将来にわたって年収850万円を得られない方という条件もつくんです。
ややこしいですね・・・
なお、亡くなったときには年収850万円を超えていても、おおむね5年以内に850万円を下回ると認められる場合は、遺族年金の対象となります\(^_^)/
遺族基礎年金は、つぎの三つの条件に当てはまると受け取れるんです。
・国民年金の加入者が亡くなったとき。
・亡くなった方に生計を維持されていたとき。
・子のいる妻や夫、または子。
一方、遺族厚生年金は、つぎの二つの条件に当てはまると、遺族基礎年金とあわせて受け取れます。
・厚生年金の加入者が亡くなったとき。
・支給要件に該当する方が対象。
「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の関係が、何だかこんがらがってきた、あなた!
そんなときは、はじめの「1. そもそも、公的年金のしくみの話」に戻って、読み直してくださいね。
遺族基礎年金の支給要件
遺族厚生年金の支給要件
正直、このあたりからは、言葉はややこしいし、数字は出てくるしですが、頑張って分かりやすく説明しますね。
まず、「遺族基礎年金」の年間支給金額は、つぎの計算方法にもとづく定額となります。
・子のある配偶者が受け取るとき: 「779,300円 + 子の加算額」
・子が受け取るとき: 「779,300円 + 2人目以降の子の加算額」
「子の加算額」の詳細などは、年金事務所や年金ダイヤルに確認くださいね。
ごっちゃになるので省略しました!
つぎに、「遺族厚生年金」の年間支給金額は、亡くなった方の老齢厚生年金の「報酬比例部分」の年金額の3/4になります。
「報酬比例部分」
この説明も、年金事務所や年金ダイヤルに確認ください。
注意したいのは、遺族基礎年金、遺族厚生年金の請求方法は、遺族年金の種類により、請求先が異なることです。
なお、提出書類や必要なものなどは同じですよ
まず、「寡婦年金」と「死亡一時金」という言葉を覚えましょう!
いくつかの条件にあてはまると、もらえることがあるからです。
寡婦年金と死亡一時金は、遺族基礎年金の要件にあてはまらないときでも、納付した保険料が掛け捨てにならないように支給されるんです。
以下の二つの表にある「寡婦年金」と「死亡一時金」の受給要件を両方満たすときは、選択して一方のみを受給できます。
なかなか読みにくい説明ですが、つらいときは、年金事務所や年金相談センターです!
なお、「寡婦年金」と「死亡一時金」の両方はもらえないので、注意しましょう。
寡婦年金の受給要件
死亡一時金の受給要件
寡婦年金・死亡一時金は、故人の住所地の市区町村役場、最寄りの年金事務所などで請求しましょう。
寡婦年金と死亡一時金で、提出書類や必要なものが異なります。
以下の表にまとめていますので、ここは特に留意してくださいね!
寡婦年金の請求方法
死亡一時金の請求方法
寡婦年金の年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した「老齢基礎年金額」の3/4になります。
これまでもらっていた、「老齢基礎年金額」がわかっていれば、おおまかな金額イメージがわかるかも・・・
死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円です。
納めた月数については、年金事務所や年金相談センターに確認しましょう!
なお、付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されますよ。
死亡一時金の受給額
遺族年金の仕組みによって、遺族厚生年金は受給できるけれども、遺族基礎年金は受給できない場合があるんです。
その場合、亡くなった方の妻は、その空白部分を補うための「加算給付」が受け取れます。
年金の制度って、うまくできてるんですよね。
その分、分かりにくくもあるんですが・・・
加算給付の一つである「中高齢寡婦加算」を受ける要件は、18歳までの子がいない妻であることです。
以下の表と図を参照してくださいね。
特に、<中高齢寡婦加算・経時的寡婦加算のイメージ>の図は、わかりにくいところをうまく表現しているので大事です!
もう一つの加算給付である「経時的寡婦加算」を受ける要件は、二つあります。
・昭和31年4月1日以前の生まれであること。
・65歳以上の妻であること。
「経時的寡婦加算」は、老齢基礎年金が新設された昭和61年4月1日に、新制度でカバーできない人を救うための経過措置として設けられたんです。
ややこしいですが、年金の仕組みはよくできている、とお考え下さい。
最初に説明した「中高齢寡婦加算」がもらえる場合、定額の年585,100円が、遺族厚生年金に加算されるんです。
繰り返しになりますが、上記の<中高齢寡婦加算・経時的寡婦加算のイメージ>を見てくださいね。
意味が分かると思います!
また「経時的寡婦加算」のときは、以下の算式による金額が加算されます。
経時的寡婦加算 = 中高齢寡婦加算 - (老齢基礎年金の満額×乗率※)
(年585,100円)
※乗率は、生年月日により12/312から348/212の間で定められています。
つぎは「児童扶養手当」です!
この手当は、配偶者が亡くなった一人親家庭などの子のために、地方自治体から支給されるんです。
受給できる人は、つぎの二つを満たす必要があります。
・日本国内に住所があること。
・18歳までの子(一定以上の障害のある場合は20歳未満)を監護している父、母など。
また児童扶養手当を受給するときには、受給者および生計を同じくする扶養義務者等に、つぎのような所得制限があります。
注意してくださいね!
児童扶養手当を請求するには、市区町村に認定請求をして、受給の「審査」を受けないといけないんです・・・
また、毎年8月に現況届を提出して、面談を受ける必要があります。
これが結構めんどう、という声もあります。
税金から支払われるので仕方がないところですが・・・
多少いろいろ聞かれても、めげずにガンバッテくださいね!
児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて毎年額が改定されます(物価スライド制)。
ちゃんと生活費の値上がりに対応する仕組みなんですね。
年6回、前月までの2か月分がまとめて支給されますよ。
「遺族補償年金」。
また新しい言葉が出てきました・・・
遺族年金の一つに、「遺族補償年金」という仕組みがあります。
仕事中に亡くなったときは、「遺族補償年金」など、労働者災害補償保険(労災保険)の補償が支給されるんです。
支給の対象者は、つぎの二つの要件を満たす必要があります。
・労働者の死亡当時に、その人の収入で生計を維持されていたこと。
・配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること。
また、妻以外には支給の要件がありますので、確認してくださいね。
ご説明したとおり、仕事中に亡くなったときは、原則として「遺族補償年金」が支給されます。
ただし、遺族補償年金の支給要件に当てはまる人がいないときに、「遺族補償一時金」が支給される場合があります。
また、労災事故が起きた場合は、会社が手続をするのが義務になっています。
なんらかの事情で、会社が手続をしてくれないときは、会社の管轄地にある労働基準監督署に相談しましょう!
失業保険(手当)の受給中にご家族が亡くなったときは、遺族は、死亡前日までの未支給分の失業給付を受け取れます。
対象者は、つぎの要件を満たす1人だけに支給されます。
・生計を同じくしていた遺族であること。
・配偶者、子、孫、祖父母、兄弟姉妹。
あてはまるときは、亡くなった方の住所地のハローワークに確認しましょう。
なお、請求期限は、死亡日の翌日から6か月以内です。
お忘れなく!
お疲れさまでした!
最後まで読み通していただき、ありがとうございました!
いやー長かった。
特に第三部の年金は、ムズカシイです。
ずーっと、これだけを仕事にしてやっていれば、分かるかもしれませんが・・・
一生に何回か、大切な人を見送ったときにだけ、「お勉強」するには、つらすぎます。
でも、この仕組みのおかげで、安心して暮らせるのも事実なんです・・・
何度かお伝えしましたが、少しガンバッテみて、無理だったら、年金事務所や年金ダイヤルに相談しましょう!
「少しガンバッた」ことは、年金事務所や年金ダイヤルのご担当者も、よ〜く理解して、感謝してくれるはずです。
あなたの理解が少しすすんで、「身近な人が亡くなったときの届け出と手続き」のメンドウさが、ちょっぴりでも和らぐことを祈りつつ・・・
お相手は、『スマートシニア』 編集部の須磨都新屋(すまと しんや)でした。
また、お会いしましょう!