 
															3部構成になっており、今回は下記の第2部です。
第一部では、今回のブログでは「身近な人が亡くなったときに、すぐに行う届け出と手続き」として、「すぐ〜14日以内」に行う手続きについて説明します。
第二部は、それに続く「落ち着いたら行う届け出と手続き」についてです。
気持ちも落ち着いて、新しい生活の立ち上げに向けて、一歩踏み出すための「届け出と手続き」になります。
第三部は、このシリーズの最大の難所、「年金などの手続き」を説明します。
ここは正直ムツカシイので、多少ハショリつつ全体のイメージをつかんでいただければよいかな、とも思っています。
電気、ガス、水道の契約者変更手続は、相続の場合は電話やインターネットでできます。
故人の口座は使えなくなるため、口座振替を利用していた場合は、支払方法の変更手続が必要です。
 
															| 項目 | ポイント | 
|---|---|
| 
													契約者の変更
												 | 
													・電話やインターネットで可能												 | 
| 
													口座振替の場合												 | 
													・支払方法の変更手続が必要
・必要書類を入手
・銀行印を押す												 | 
故人の携帯電話の契約は、そのまま引き継ぐことも、解約することもできます。
引き継ぐ場合と、解約をする場合で、必要書類が異なるため、事前に電話などで確認してから進めましよう。
インターネットは、基本となる回線とプロバイダーの2つの契約に加えて、ネットの定額有料サービスの契約を確認しましょう。
メモなどが残されていればそれを頼りに、ない場合は、クレジットカードや銀行の口座振替などを手掛かりに、確認していきます。
どちらも解約日までの料金が請求されますので、すみやかに対応することが重要ですね。
 
															| 項目 | ポイント | 
|---|---|
| 
													携帯電話												 | 
													・引き継ぐ場合と、解約をする場合で、必要書類が異なる ・相続関係書類、本人確認書類、SIMカード、支払い手続などが必要 ・SIMフリースマホの場合は、ログインIDとパスワードが必要 | 
| 
													インターネット												 | 
													・基本的に、回線とプロバイダーの2つの契約あり ・ネットの定額有料サービスも考慮 ・ログインIDとパスワードを探すことが鍵 | 
NTTの固定電話は、「電話加入権」という財産の相続となります。
戸籍謄本などとともに郵送で手続ができます。
なお、少額ですが、相続税を支払う必要があります。
 
															故人の運転免許証は、最寄りの警察署などで返納手続を行います。
運転免許証には本人確認書類の役割があるため、悪用を防ぐためにもきちんと返納しましょう、という仕組みです。
故人の運転免許証、死亡診断書のコピーなど死亡が確認できる書類、届出人の身分証明書が必要になります
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													返納手続												 | 
													・最寄りの警察署などで返納手続を行う ・故人の運転免許証、死亡が確認できる書類、届出人の身分証明書が必要 | |
| 
													返納手続をしない場合
												 | 
													・期限が来ると自動的に失効 ・本人確認書類としての悪用を防ぐため、返納が望ましい | |
パスポートは、最寄りのパスポートセンターなどへ返納します。
こちらも、偽造や悪用を防ぐために返納しましょう。
故人のパスポート、死亡が確認できる書類が必要になります。
死亡が確認できる書類は、パスポートの有効期限が切れている場合は不要です。
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													返納手続												 | 
													・最寄りのパスポートセンターなどへ返納 ・故人のパスポート、死亡が確認できる書類が必要 | |
| 
													返納手続をしない場合
												 | 
													・とくに罰則や義務はなく、罰則は、不正利用したり、命令違反したときに適用 ・偽造や悪用を防ぐために返納が望ましい | |
クレジットカードの返却手続は、カード会社により異なるため、電話で確認しましょう。
カードの未払金は、原則として相続人が支払う必要がありますので、留意してくださいね。
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													返納手続												 | 
													・最寄りのパスポートセンターなどへ返納 ・故人のパスポート、死亡が確認できる書類が必要 | |
| 
													返納手続をしない場合
												 | 
													・とくに罰則や義務はなく、罰則は、不正利用したり、命令違反したときに適用 ・偽造や悪用を防ぐために返納が望ましい | |
マイナンバーカードやマイナンバーの通知カードは、持ち主の方が亡くなられたとしても市役所などに返納していただく必要はございません。
ただし、相続などの手続で亡くなられた方の個人番号(マイナンバー)の提出を求められる場合がありますので、亡くなられてから諸手続が済むまではマイナンバーカードや通知カードは保管しておいてください。
手続終了後、もし市民課窓口への返納を希望される場合は返納することもできます
 
															亡くなった方が、国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀を行った喪主等に「葬祭費」が支給されます。
金額は、加入していた制度や住んでいた場所によりますが、3〜5万円程度です。
一般的な葬儀の費用に比べると少額ですが、忘れないようにしましょう。
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													提出先												 | 
													・故人が住んでいた市区町村役場
												 | |
| 
													申請者												 | 
													・葬儀を行った喪主等												 | |
| 
													必要なもの												 | 
													・申請書(窓口で入手) ・葬儀にかかった領収書 ・印鑑 など | |
| 
													期限												 | 
													・葬儀の翌日から2年で時効												 | |
| 
													手数料												 | 
													・なし												 | |
会社員など、国民健康保険以外の健康保険(健康保険組合など)の被保険者が亡くなったときは、一律5万円の埋葬料が支給されます。
また、退職後3か月以内に亡くなったときも、埋葬料は支給されます。
健康保険組合によっては、埋葬料のほかに独自の付加給付がある場合があります。
なお、被保険者の家族(被扶養者)が亡くなったときは、家族埋葬料5万円が支給されます。
こちらも物入りのときだけに助かりますね。
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													提出先 												 | 
													・故人の勤務先の管轄協会けんぽ(年金事務所)、または健康保険組合												 | |
| 
													申請者
												 | 
													・故人に生計を維持されていて、埋葬を行った人 ・(該当者がいない場合)埋葬を行った人 | |
| 
													必要なもの												 | 
													・申請書(協会けんぽ、または健康保険組合から入手) ・埋葬にかかった領収書 ・代理人申請の場合、委任状 ・印鑑 など | |
| 
													期限												 | 
													・埋葬料: 死亡した日の翌日から2年で時効 ・埋葬費: 埋葬を行った日の翌日から2年で時効 | |
| 
													留意点												 | 
													・会社で手続を行う場合があり、確認が必要												 | |
以下は、勤務先の会社で、被保険者の扶養家族である妻が亡くなった場合の記入例です。
会社が代理で申請をして、埋葬料を受け取る形になっています。
健康保険組合などにより様式が異なり、会社での代理申請のありなしより手順が変わるため、会社に確認しましょう。
 
															 
															最近では大半の方が病院で亡くなります。
そして、がんなどの治療で入院されていた場合は、たいていは高額の医療費がかかるんです・・・
高額療養費(高額療養費制度)は、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
本人の死亡後に請求することもできますから、後から気づいても大丈夫です。
毎月の負担の上限は、国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険の加入者の年齢(70歳以上または70歳未満)や所得により異なります。
世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合など、自己負担額は世帯で合算すること(世帯合算)ができます。
また、同じ世帯で直近の12か月に4回以上、自己負担額を超えた場合に負担額を軽減(多数回該当)する仕組みもあります。
まず、高額療養費の計算をする必要があるため、しっかり確認してくださいね。
| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													提出先 												 | ・お住いの市区町村 ・協会けんぽ、または健康保険組合 | |
| 
													申請者
												 | 
													・相続人など
												 | |
| 
													必要なもの												 | 
													・高額療養費支給申請書(窓口またはウェブサイトから入手) ・病院などに支払った領収書 ・故人との続柄がわかる戸籍謄本 など | |
| 
													期限												 | 
													・診療月の翌月から2年以内
												 | |
| 
													留意点												 | 
													・市区町村または健康保険(組合)により、他の書類が必要な場合あり												 | |
 
															70歳未満の方の高額療養費の自己負担額は、標準月額報酬の「所得区分」により計算するんです。
ややこしいですね〜
例えば、標準月額報酬28〜50万円以上の方が、医療費として2割負担で20万円支払った場合は、実際の医療費(総医療費)は100万円です。
1か月の負担の限度額は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1% = 87,430円となります。
そのため、窓口で支払った200,000円-87,430円 = 112,570円が返金されます。
やっと計算できました!
また、この支払が「多数回該当」のときは、限度額は44,400円に下がって、200,000円-44,400 = 155,600円と返金が増額されるんです。
 
															| 所得区分 | 1か月の負担の限度額 | 多数回該当の限度額 | 
|---|---|---|
| 
													標準月額報酬83万円以上の方												 | 
													252,600円+(総医療費-842,000円)×1%												 | 
													140,100円												 | 
| 
													標準月額報酬53〜79万円以上の方												 | 
													167,400円+(総医療費-558,000円)×1%												 | 
													93,000円												 | 
| 
													標準月額報酬28〜50万円以上の方												 | 
													80,100円+(総医療費-267,000円)×1%												 | 
													93,000円												 | 
| 
													標準月額報酬26万円以下の方												 | 
													57,600円												 | 
													44,400円												 | 
| 
													住民税非課税者または生活保護世帯												 | 
													35,400円												 | 
													24,600円												 | 
70歳以上の方のとき、下表の②一般所得者が、入院も含めて世帯単位で20万円支払った場合を考えましょう。
今度は、自己負担の限度額は57,600円です。
そのため、自己負担200,000円-57,600円 = 142,400円が戻ります!
 
															 
															確定申告の必要な方が亡くなると、相続人、包括受遺者(包括遺贈を受ける人)は、亡くなった方の代わりに「準確定申告」を行う必要があります。
高額の医療費を支払っていたときなど、準確定申告により税金が戻る場合もありますよ!
| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													提出先 												 | 
													・故人の納税地(住所地)の所轄税務署												 | |
| 
													申請者												 | 
													・相続人、包括受遺者(包括遺贈を受ける人)												 | |
| 
													対象期間												 | 
													・1/1から死亡日までの本年分 ・3/15までに亡くなり、前年分が未申告の場合、前年分 | |
| 
													必要なもの												 | 
													・準確定申告書(第1表、第2表) ・相続人などが複数の場合、確定申告書付表 ・源泉徴収票や保険料等の支払証明書など ・事業所得がある場合、青色申告決算書や収支内訳書など ・連署で行う場合、全員の個人番号(マイナンバー)の記入と本人確認書類 | |
| 
													提出期限												 | 
													・相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から4か月以内												 | |
| 
													留意点												 | 
													・通常の確定申告とは期限が異なる ・税金の還付が受けられる場合がある | |
亡くなった方の準確定申告が必要かどうかは、事業所得があるなど、確定申告と同様の基準で定められています。
おおまかには、従来、亡くなった方が確定申告をしていたかどうかが目安になります。
準確定申告が必要ない場合でも、多額の医療費の控除など、申告をすることで税金が戻るケースもありますので、確認してくださいね。
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 
													準確定申告が必要なケース (確定申告と同様) | 
													・事業所得、不動産所得がある場合 ・2か所以上から給与をもらっていた場合 など | 
| 
													準確定申告により税金が戻るケース
												 | 
													・多額の医療費を支払った場合 ・各種控除を受ける場合 など | 
準確定申告は、確定申告の様式を修正する形で記入するんです。
「確定申告書A」の場合は「準」の文字を書き足し、「申告書B」の場合は「準確定」の文字を書き足して、「準確定申告書」としましょう。
住所、氏名には、亡くなった方の情報と相続人や包括受遺者の情報を、上段、下段に分けて記入してくださいね。
 
															所得税の準確定申告書(第1表)のポイント
 
															| 項目 | ポイント | |
|---|---|---|
| 
													申告書名 												 | 
													・「準」または「準確定」の文字を書き足し、「準確定申告書」とします												 | |
| 
													住所、氏名												 | 
													・上段には、死亡した方について記入 ・下段には、相続人や包括受遺者について記入 ・相続人や包括受遺者が押印 | |
| 
													個人番号												 | 
													・余白などに、相続人や包括受遺者の個人番号(12桁)を記入												 | |
| 
													死亡年月日												 | 
													・余白などに、死亡年月日を記入												 | |
所得税の準確定申告書(第2表)については、次の二点に留意しましょう。
申告書名に「準」または「準確定」の文字を書き足すこと。
配偶者、扶養親族などには個人番号を記入すること。
 
															所得税の確定申告書付表について、注意することは次の二点です。
(2)氏名に、提出する人の個人番号を記入して押印すること。
(7)相続分に、法定相続分や遺言書で指定された割合などを記入すること。
 
															亡くなった方の事業を引き継ぐと、所得税の確定申告が必要なんです。
所得税には青色申告と白色申告があることを知っていますか?
青色申告は「複式簿記」が求められますが、以下のような税制上のメリットがあります。
いままで事業をしていなくて、急に引き継ぐとなると分からないことだらけですが、少しずつ学んでくださいね。
 
															| 項目 | ポイント | 
|---|---|
| 
													特別控除 												 | 
													・青色申告特別控除という経費が認められる ・帳簿の種類により、最高65万円 | 
| 
													家族給与												 | 
													・家族へ支払った給与が、経費になる												 | 
| 
													事業の経費												 | 
													・自宅を仕事場として使ったことが証明できれば、家賃などが経費になる												 | 
| 
													赤字の繰り越し												 | 
													・赤字を3年間繰り越しできる												 | 
相続では、亡くなった方の青色申告は引き継がれません。
相続人がこれまで青色申告をしておらず、事業を引き継いでから青色申告をする場合は、「青色申告承認申請書」を提出しましょう。
 
															| 項目 | ポイント | 
|---|---|
| 
													提出先 												 | 
													・相続人の納税地(住所地)の所轄税務署
												 | 
| 
													提出者												 | 
													・相続する人												 | 
| 
													提出方法												 | 
													・持参または送付												 | 
| 
													提出書類												 | 
													・申請書(税務署の窓口または国税庁のウェブサイトで入手)												 | 
| 
													提出期限												 | 
													・1月1日〜8月31日に亡くなった場合: 死亡の日から4か月以内 ・9月1日〜10月31日に亡くなった場合: その年の12月31日まで ・11月1日〜12月31日に亡くなった場合: 翌年の2月15日まで | 
| 
													留意点												 | 
													・相続する人が、すでに青色申告をしている場合は不要												 | 
所得税の65万円控除を受ける場合、「青色申告承認申請書」の書き方で注意するのは、次の2点です。
まず、「9. その他の参考事項」の「 (1) 簿記方式」には「複式簿記」を選びます。
次に、「10 (2) 備付帳簿名」には、「総勘定元帳」と「仕訳帳」の2つは最低限選択します。
「備付帳簿名」は、厳密に選択する必要はないため、適宜、追加しましょう。
 
															配偶者が亡くなると、当然に婚姻関係は解消されます。
ところが、配偶者の親族との姻族(いんぞく)関係は継続されるんです。
姻族関係終了届を提出すると、配偶者の親族との姻族関係を終了させることができます。
姻族関係の終了により、亡くなった配偶者の親族の扶養義務などがなくなります。
姻族関係終了届は、残された配偶者が単独で届出でき、配偶者の親族の同意は必要ありません。
事務的には、意外にあっさりと姻族関係を終了できます。
法事などで会ったときに気まずいなど、メリット・デメリットがありますので、よく検討してくださいね。
| 項目 | ポイント | 
|---|---|
| 
													提出先												 | 
													・残された配偶者の本籍地または住所地の市区町村役場												 | 
| 
													届出人												 | 
													・残された配偶者												 | 
| 
													必要なもの												 | 
													・届出書(窓口で入手) ・戸籍(除籍)謄本(戸籍全部事項証明書、本籍地に提出する場合は不要なことが多い) ・届出人の身分証明書(運転免許証など) ・印鑑 など | 
| 
													提出期限												 | 
													・配偶者の死亡届を提出した後であればいつでもよい、期限なし												 | 
| 
													留意点												 | 
													・子と亡くなった配偶者の親族との関係は継続 ・亡くなった配偶者の親族側からは提出できない | 
姻族関係終了届の書き方では、注意する点が2つあります。
1つ目は、届出人の住所の「世帯主」には、新たな世帯主を記入することです。
世帯主が亡くなった場合、世帯主変更届(住民異動届)を先に出す必要があります。
2つ目は、本籍の「筆頭者」です。
戸籍の筆頭者は亡くなっても変わらないため、故人が筆頭者であった場合は、故人の名前を記入します。
 
															「姻族関係終了届」により姻族関係が終了しても、戸籍はそのままで、氏(姓)は変わりません。
旧姓に戻す場合は、別途、「復氏(ふくうじ)届」を提出します。
子の姓を変更するには、「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出しましょう。
第二部を、お読みいただいて、お疲れさまでした!
これで長丁場の三分の二まで到達しました!
いやー、届け出と手続きって本当に奥が深いですね・・・
説明していて、その背景にある家族が思い浮かんで、思わず涙目になってしまいました
人生いろいろ、苦あれば楽あり、楽あれば苦あり。
こんなところでメゲている場合ではありません!
いよいよ第三部は、このツアー最大の難所「年金などの手続き」です。
これまでも専門用語が多かったのですが、さらにやっかいな言葉が出てきて・・・
いえいえ、シニア世代の代表、全力でサポートしますので、頑張ってついてきてくださいね!!